Exhibition

杉浦亜由子 “Something Mythical”

2023年8月19日(土)– 9月24日(日)

“Remains - worm” , 2022, 46x37x4cm, シリコン, フェンネル, 白顔料

開廊日時:12:00-19:00 土日のみ開廊(23 日(土)は祝日ですがオープンします。)
オープニング・パーティー:8月19日 18:00-21:00
*ビュッフェ +1ドリンク3000 円

本展は新作を含めた近年の彫刻作品の包括的な展示となっている。
微生物、昆虫や魚や花などの動植物から着想を得た抽象形態を集合的に構成した一連の彫刻作品は、観るものに様々な感情を呼び起こす。それは、親近感や懐かしさ、憧憬、あるいは異様なものに対する嫌悪や恐れ、といった相反する感情である。
杉浦の作品に特徴的な要素の一つに、シリコンという素材に対する強いこだわりが挙げられるだろう。シリコンは、医療用の人工皮膚や人工臓器、ブラジャーのパッドに使われるなど、身体/肉の代替物としての意味合いが含まれる。また、生活の中で誰もが触れることのある素材であるからこそ、触覚を視覚的に伝えるための素材として、また感覚を憑依させる依代として用いられている。
「触覚」は、杉浦の彫刻表現において核となるものである。「手で触って作る」という自らの原初的な欲求、そして「自分で一通り経験して指でなぞっている形を人の目で理解する」という「感覚の譲渡」を希求しているのである。
自然物をモチーフとしながらも、そのスケールや構造はデフォルメされ、杉浦自身の「触覚」により導かれて抽象性を帯びた形は、知っているようで知らない、どこかで目にしたことがあるようだが何かははっきりとわからない彫刻作品となって立ち現れる。それを前にしたとき、我々はそれを理解しようと試み、日常のなかにある違和感に気づき、自身の意識にしみついた触覚や形を模索することになる。
また、杉浦の作品には、触覚やそれにつながる観賞者の自伝的記憶を想起させるため、古代から香水や宗教儀式に用いられてきたスパイスが用いられ、自然の色を取り入れるとともに微かな香りを作品に纏わせている。杉浦の作品に対峙するとき我々は、自身の記憶と共に、目の前に現れたかたちを体験することで、自身に内在するもうひとりの自分と対話しているのかもしれない。
「何もないところでも人は創造性を忘れないし、作ることも祈ることもやめない」と彼女は言う。超越的なものではなく何か神秘的なもの-Something Mythical-こそが、誰もが持っている習慣としての「祈り」に寄り添うことができるのではないだろうか。(榎本佳)

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杉浦亜由子 Ayuko Sugiura
1984年東京都うまれ。2007年武蔵野美術大学彫刻学科卒業。2010年ロンドン大学スレード校美術学部彫刻科修士課程修了。
ただの物質が人の手によって美術作品として形づくられたときに、物質以上の何かを見出す効果に注目し、宗教建築や自然界にある形や素材から発想を得て、本能的な「信仰心のようなもの」を想起させる作品を発表している。主な展示に、「それは、つまり物を以って詩をつくることである」(2022)、「ロンリーロンリー論より証拠」(2021)、「アースライト̶SFによる抽象の試み」(2020)、「Matrix Session」(2019)、「ART VACANCES」(2017)、「Spring Fever」(2017)、「Inside the Layers」g-FAL, 武蔵野美術大学(2014)、「Kaleidoscope」ロンドン(2012)、「The Charter of the Forest」 The Collection, Usher Gallery & Chambers Farm Wood (Wragby), リンカンシャー(2011)、London Art Fair -「Art Star Super Store」by WW gallery, ロンドンアートフェア、ロンドン(2011)など。
http://www.ayukosugiura.com/

お問い合わせ: ayukosugiura.works@gmail.com