Past Exhibition

石井友人 “享楽平面”

2019年5月10日(金)- 6月9日(日)
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12:00-18:00(月-木曜休廊)
※金、土、日曜日のみオープンとなります

1981年生まれの石井友人はこれまで、主にインターネットから見つけてきたイメージを光学的に分解しながら描いたような絵画作品を制作してきました。日常に溢れている情報や身の回りの風景などを構成している映像と、自分との接続関係をテーマとする石井の制作は、既存のイメージを身体に受容し、再度絵画としてそのイメージを出力するという、身体を用いた映像作りというべきものです。
石井によれば映像とは元々、非ー人間的な領域に属していたと言います。写真や映画の誕生の際にはおそらく、人間から独立した異質なものとしての映像の衝撃があったはずですが、映像はすぐに素材として加工されるようになり、人為的な複製品として社会の歯車に組み込まれるようになりました。映像を巡るこの変化は、現代社会特有の表層性を生み出す大きな原動力となったことでしょう。何が真実で何が虚構なのかという判断や、現実感、実在性などに関するわたし達の感覚も、映像の社会への浸透と密接な関係を持っていると言えるでしょう。
そのように映像が浸透している今日の社会では、主体と客体の境界面が複数化し、人は常に表層的イメージに取り囲まれています。今回石井はこれまで「Subimage 下位-イメージ」と名付けて取り組んできた、複数化する映像イメージと身体というテーマに、「スペース戸塚`70」における実践を参照しながら、物質的な次元を導入します。
石井は、主体と客体のインターフェースである鏡やモニターといった複数の平面、その境界に直接的な事物「石」を挟み込み、諸平面に亀裂を作り出そうとします。複数のイメージと境界面を貫入するその「穴」を通して、そこにイメージそれ自体の基盤「映像の基底面」が露呈するはずです。そこではわたし達が常日頃、目にしていながら認識する事が出来なくなっている映像の本来の姿、非ー人間的な「光の仮象の世界」が現れるでしょう。人はその「光の仮象の世界」に接続するよう試みることで、精神分析的な意味における「鏡像段階」以前の状態、自他の境のない、人間の非ー人間領域=「享楽」を感じ取ることができるはずだと石井は考えます。
風景であれ情報であれ、今日、常にわたし達が接しているこの表層世界に現れた「穴」、その隙間から垣間見られる「享楽平面」を是非ご覧ください。

※本展は「わたしの穴 美術の穴」2019年企画が、世田谷区で開催する3つの展覧会のうちの1つです。他会場の展覧会と併せてどうぞご高覧くださいませ。
展覧会URL